くわこの日常

日常のインプットをアウトプットするブログです

アンテナの感度が鈍い私は幸せなのか?

「あぁーっ!」

私の前のデスクで、新入社員が頭を抱えている。まだ20代だが、彼女は管理栄養士である。

「どうした? 保育園で何かあった?」

わが社は、企業内認可保育園を先月初めて作った。そこで提供する給食の献立を担当しているのだ。

「ついに出ました。アレルギー……」

給食に出した桜エビで、一人の園児にアレルギー症状が出たのだ。わが子にアレルギーがあるとは、保護者も知らなかったらしい。

今後は別メニューを提供することになる。おそらく献立作成も調理も手間が増えるだろう……というのは、素人の私でも想像がつく。

 

この数十年、食物アレルギーはどんどん増えているように感じる。アレルギーを持つ人数だけでなく、原因となる食材の種類も増えているのではないか。卵、牛乳、そば、甲殻類などはよく知られている。ほかにどんな食材でアレルギーがでるのか、管理栄養士の彼女に聞いてみたら驚いた!

玉ねぎ、にんじん……ほとんどの料理に入ってるよね?

サラダオイル……この子はなぜか紅花油だけokだったらしい。

バナナ、オレンジ、ゼラチン……ケーキ屋さんには行けないね。

 

私にも息子が二人いるが、幸いにも何のアレルギーもなかった。私は自由に食べさせられたし、息子たちも食べたいものを普通に食べていた。もし息子たちが食物アレルギーだったら、食事を作るのはさぞ大変だっただろう。加工品に入っていないかいつも気にして、外食なんて怖くてできないかも。手抜きで弁当を買ってくるのもダメだ。

楽しいはずの食事が、ちっとも楽しくない。息子たちにアレルギーがなくて、神様、本当にありがとうございます。

 

私自身もアレルギーは何もない。食物どころか花粉にもPM2.5にも反応しない。いろんなものに対するアンテナが相当鈍いのだろう。そんな私でも最近「きゅうくつだなぁ」と感じることがある。「〇〇ハラスメント」という言葉だ。

 

セクハラ……そりゃ嫌ですよ。パワハラ……絶対ダメです。マタハラ……妊娠、めでたいことじゃないですか。え? 血液型ハラスメントとかもあるの?

今まで我慢していた人達が、「やめてください!」って声を上げれるようになって良かったと思う。

……でも。この〇〇ハラスメント、同じことでも感じ方が人によって違う。まるでアレルギーみたいに。

 

私はハラスメントのアンテナも少し鈍いのかもしれない。

男性ばかりの職場に毎日販売に行くと、セクハラめいた話になることがまぁまぁある。

別に触られるわけではないし、私にとっては「明るいエロジョーク」くらいの感じだ。子供二人も産んどいて、目くじらたてる様なことでもない。

ところが、引き継ぎのために新人スタッフを連れていった日。いつもの様な「明るいエロジョーク」だったのだが、新人スタッフには刺激が強かったのだ。顔色を変えてしまった。

凍り付く空気。そこでの売り上げは激減し、その新人スタッフは辞めてしまった。彼女にとっては完全に「セクハラ」だったのだ。

私の失敗だった。彼女のアレルギーに気がついていなかった。

 

人はみんな感じ方が違う。同じ言葉でも、平気な人もいれば、死ぬほど傷つく人もいる。その違いは仕方ないことだし、当たり前なことだ。

 

でも、〇〇ハラスメントと名前をつけて、すべてを否定するのはなんだか窮屈だ。

 

「桑原さん、最近ちょっとやせました……?」20代の男性社員が恐る恐る言ってきた。

「もう~やっと気が付いてくれた? けっこう頑張ってやせたんだけど~」

「いや、やせたとかそういうの、セクハラになるかと思って……言えませんでした」

はぁ? 『やせた』『きれいになった(とは言われていないが)』私にとっては誉め言葉だ。どんどん言ってほしい。私はほめられて伸びるタイプなのに。

 

わが社は女性スタッフが圧倒的に多い会社なので、若い男性社員は気を使っているのだ。申し訳ないが、初めてそのことに気が付いた。あんまり気を使いすぎて、貴重な男性社員が辞めると困る。こちらも言動には気をつけなければ……。

あれ? う~ん……なんだか息苦しい。

 

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嫌なことは「嫌です!」と言える雰囲気。そんな風通しのいい雰囲気があれば、いいのだ。言われたほうも、「あ、嫌なんだ」と気が付いて止めればいいのだ。だって、みんな感じ方は違うのだから。

 

理想論かもしれない……。でも! 周囲全員に知らせるように「〇〇ハラスメント!」ってレッドカードを出すのは、違う……と思ってしまうのだ。そんな事より、本人に「やめてください」って言おう。

嫌なことを我慢することはない、本人に言おう。直接言うのは勇気がいるから、お守りのための「〇〇ハラスメント」ならいいと思う。使い方なのだ。

 

そういう信念のもと、上司にも「それ、違いませんか?」という事が……多々ある。当然、直属の上司に思いっきり嫌われたこともあった。でも、理解してくれる人もたくさんいるし、仕事自体は楽しい。

そういえば、今年の4月には勤続20年を迎える。なんだかんだ言っても、居心地いいんだと思うな、うちの会社。定年まで頑張りますので、よろしくお願いします、社長!